日本語版「Outward」プレイレポート。ファンタジー世界の一般人の人生とサバイバルを描く,独特の魅力にあふれたオープンワールドRPG
本作は,ファンタジー世界の選ばれし者“ではない”一般人を主人公としたオープンワールドのアクションRPGだ。まるで現実のような世知辛いファンタジー世界で,何者でもないただの人間の人生とサバイバル生活を描く,独特の作風が特徴となっている。そんな「Outward」の魅力を,実際にプレイした感想とともにお伝えしよう。
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「Outward」公式サイト
主人公は,ファンタジー世界の一般人――最初の目標は“借金返済”
Outwardにはメインとなるストーリーラインがあるが,最初に何をしていいのか分からない,と感じるくらい自由度が高い。そこで今回は,基本システムを解説しつつ,序盤の流れを紹介していきたい。
簡単なキャラメイクを終えると,オーライという大陸に降り立つことになる。プレイヤーキャラクターは,オーライの中にあるシエルツォという街で生活している一人の住民だ。しかし,平和でのんびり……というわけではなく,一族が犯した罪(ブラッドプライス)を背負っていて,借金を返済する形で贖罪して暮らしているという,なかなか重いバックグラウンドがある。
そんな主人公(プレイヤー)の物語は,借金返済のため一獲千金を求めて海を渡ろうとするも船が座礁し,命からがら帰還したシーンからスタートする。
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操作が可能となったら,まずは周囲を探索し,武器となるものや食料,料理をするための焚き火を作る木材などを見つけ出そう。
Outwardの世界は,現実世界同様に昼夜,天候の概念があり,時間が経過すればお腹が空くし,のども乾く。生き延びる上で必要な武器や道具が充実していても,食べ物や飲み物がなくては生きていけない。生き延びるため必要なアイテムをしっかりと集めていくのが攻略の基本となるのだ。
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最初のフィールドでは,武器となるマチェーテを手に入れた先で,2匹のハイエナが待ち構えている。野生の動物に噛みつかれたり引っ掻かれたりすると「感染症」の状態異常になってしまうことがあるので,攻撃を受けないよう立ち回ることが戦闘の基本方針となる。
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野生動物や盗賊,巨人,アンデッド……さまざまな敵が待ち受けているOutwardの世界。手強い敵たちとの戦闘は,相手をターゲットしてガードを固めながら周囲をぐるぐる回り,隙の大きい攻撃を出したらそれに反撃するのが効果的だ。緊急回避もできるが,常用するのではなく,敵の強烈な一撃を避ける最後の手段として使うことが好ましい。なお,ガードしながら移動する際は,敵が持っている武器と逆の方向に移動すると空振りを誘いやすくなることを覚えておこう。
戦闘の注意点としては,スタミナのゲージをきちんと確認すること。スタミナがないと攻撃も緊急回避もできなくなってしまうので,適度にガードを解いてスタミナを回復させながら戦うことが重要だ。
敵を攻撃する際,HPの下に表示されている白いゲージもチェックしよう。これは「安定性」という数値の表示で,攻撃をガードさせるなどして白いゲージを削っていくと,敵をひるませて大きなチャンスを作ることができる。最初から習得しているスキルの「押し蹴り」はこの安定性を大きく削る効果があるので,まずは,押し蹴りから連続して武器の攻撃を繰り出すコンボを中心に戦っていくといい。
キャラクターが勇者ではない一般人ということで,戦闘の難度はかなり高く,最初のハイエナ戦でもガムシャラに剣を振るうだけでは苦戦すること必至のバンランスとなっている。
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とくに複数の敵を相手にする場合は,防御を主体とした隙をつく戦法を実践することが困難になってくるので,1体ずつおびきだして1対1の状況にする工夫をしていきたい。とはいえ,最初にハイエナと対峙するシーンに関しては,やられたとしてもそのままストーリーが進むので,さほど気にする必要はない。少しずつ戦闘に慣れていこう。
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フィールドで寝袋で寝る。もしくはハイエナにやられると,主人公の家(灯台)から次のシーンがスタートする。自宅では,ベッドで寝てHPを回復したり装備中の武器を修理したりしながら時間を過ごせるほか,備え付けのチェストで荷物の整理,台所での料理などができる。
家から一歩外に出ると,「5日の借金返済以内に銀貨150枚を集める」というクエストが発生。ここからは自由に行動して,銀貨を貯めていくことになる。冒険の最中に拾ったアイテムを店で売って稼ぐのがオーソドックスな稼ぎ方になると思うが,手近なところに植生している「ガベリー」などはそのまま売ることはできず,一度調理しなければならない。
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初期のリュックは収納量が少なく遠出には向かないので,広範囲の探索に出かけるためにまず「遊牧民のリュック」に買い替えておきたい。収納量が多いだけに重さがあり,緊急回避の動きが鈍化してしまう欠点があるが,ボタン1つで地面に下ろせるので戦闘で不利になることはないだろう。
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借金はかなりのもので,コツコツとモノを売っていてもなかなか完済とはいかないだろう。金目のものを持っている盗賊たちを襲ってお宝を奪うという強硬手段もあるが,戦う術を知らず,大した武器ももたない一般人がかなうわけがない。返り討ちに合ってケガを負い,傷をいやしている間に期限が終わる……という結末が目に見えている。
期限までに借金を返せなかった場合は家を追い出されてしまうが,後日あらためて最初の提示額の倍を払えば家を取り戻せるので,あえて期限内に借金を返さず「一度失った家を取り戻す」という自分だけの物語を紡ぐのもまた一興。なお,借金返済クエストには,一発で借金がチャラになる方法が用意されている。街中を歩き,周囲のフィールドを探索しその方法を見つけ出してほしい。
しつこいようだが,主人公は英雄ではなく一般人。最初は優れた剣技や特別な力を持っているわけではないので,街の外での冒険はつねに緊張感がつきまとう。
とくに夜はかなり暗く,松明の明かりだけでは遠くの敵を目視できず,心がまえができないまま戦いが発生することも少なくない。全体マップを開いても自分の位置が表示されないため,無計画に移動してしまうと迷子になる危険もある。
シエルツォの灯台やマップ中央の交わりの山のように,各地にはランドマークとなる場所があるので,それらの位置を覚えて少しずつ探索範囲を広げていこう。
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特別な力を得るか,一般人のまま過ごすか
楽しみ方はプレイヤー次第
借金返済後は,「未来を見据えて」がスタートする。これは自身が属する派閥を選択するクエストで,属した派閥によってストーリーやクエストが変化していく。すぐにクエストを進めてもいいが,派閥を決める前にしっかりと冒険の準備を整えておくと良いだろう。
冒険の準備で重要なのが“お金稼ぎ”。Outwardにはレベルの概念がなく,キャラクターの強化にはスキルの取得や装備品の充実が必要不可欠。スキルの取得には大量に銀貨を消費するので,「お金を稼ぐ=経験値を稼ぐ」と言っていいほど金策は大事な要素となるのだ。
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各地のダンジョン内にある宝箱(一定の日数が経過すると復活する)からアイテムを入手して,いらないものを売り払う。これがお金の稼ぎ方となるが,序盤はあまり良いアイテムが手に入らず,手間の割に儲からない。
効率が良いのが,家の台所で「旅人の糧食」を量産して売るという方法だ。材料となる肉の調達の際にハイエナと戦ったり白い鳥を倒したりする必要があるが,それ以外に必要なガベリーなどの野菜はあちこちに生っているし,塩は海水を入れた革袋を台所に持っていくだけと簡単だ。
初期投資が必要だが,錬金術で「温かいポーション」もオススメの1つ。店で購入できる「濃厚な油」と水があれば簡単に作れるので,それを売ってお金を稼ごう。お店の在庫が復活するまでに3日ほどかかるので手間はかかるが,安全にお金が稼げる。
ここで紹介したのは,あくまで序盤から使える金策の一部。ゲームを進めることでさらに効率の良い方法も見つかるはずだ。
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なお,盗賊の砦などに乗り込み,お宝をいただくという方法もある。敵が手強くリスキーな手段だが,それだけに貴重なアイテムを入手可能だ。真正面から向かっては勝ち目はないので,「仕掛け線の罠と大くぎ・鉄」などのトラップを持ち込み,有利な状況を作れるようにしよう。
敵にやられて戦闘不能になると,持ち物を奪われる可能性もある。奪われてしまった場合も,リスタート時にフィールド内の宝箱などから回収できるが,手持ちの銀貨が減ってしまうので要注意。なるべくやられないよう危険な勝負に挑まず,銀貨と違ってやられてもなくならない「金塊」に代えるなどして対応しよう。
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本作の敵はなかなか手強いので,探索範囲を広げるためにも必要となるのがスキルの習得だ。
スキルは各地のNPCにお金を払って習得するもので,剣や斧といった武器によって異なる個別の技やパラメータ向上などさまざまな種類がある。剣技を用いた近接戦闘をメインとするか,それとも銃や弓などの遠距離攻撃を極めるかなど,プレイヤーのプレイスタイルに合わせたスキルを身に付けよう。
ファンタジーゲームらしいといえるのが「魔法スキル」。スタート時は特殊な力を持たない一般人だが,試練を乗り越えることで魔法が使えるようになるのだ。攻撃魔法やデバフなどさまざまな種類の魔法があるが,それらを使えるようになるには,まずはマナを開放しなければならない。ケルソネス中央にある交わりの山にある「交わりの小部屋」へ向かおう。
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山にはダンジョンに通じる入り口がいくつかあり,どの入り口を選ぶかはプレイヤー次第だが,攻略のしやすさを考えると南西付近にある「聖なる使命の交わる道」がオススメだ。
この道の入り口にはNPCがいて,プレイヤーの手助けをしてくれる。とはいえ複数の敵を相手にするとあっさり死んでしまうので,1人のときのように慎重さは欠かさず山の奥へと進もう。1人のときやNPCがやられたときは,戦わずに逃げながら強引に進むと言う手もある。途中に宝箱もあるので取り逃がしたくないという気にもなるが,強くなってからあらためて取りに行けばいい。
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目的地となる交わりの小部屋では,最上部にある紫色のクリスタルのようなオブジェクトを使ってマナを開放する「マナチャネリング」を実行できる。
マナチャネリングは,HPとスタミナの最大値を削り,その分マナの数値を伸ばすというもの。何度も実行できるが,一度マナに振った分は元に戻せないので,マナがどの程度必要なのかしっかり確認してから行おう。
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交わりの小部屋にいるNPCに銀貨を払うことで,魔法スキルが習得できる。
ゲーム序盤に使える個人的なオススメ魔法は「火炎放射」だ。その名のとおり炎で燃やして持続的にダメージを与えられる魔法で,一度当てれば,ガードを固めて待っているだけで敵を倒せることもある。魔法を使うには触媒となるアイテムを消費する必要があるが,この魔法は序盤から簡単に作れる松明の炎で発動できるという点も大きい。
なお,魔法の習得はストーリーを進めるうえで必須ではないので,一般人としての生活を楽しみたければ無理に行く必要はない。
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弓を得意とするハンターや強力な魔法を使う賢者など,複数の系統があるスキルライン「クラススキル」も極めよう。下位,ブレイクスルー,上位の3段階あり,下位はお金を払えば覚えられるが,上位は1キャラクターで3系統までしか取得できない。近接攻撃を主体にするか,破壊力のある攻撃魔法を使うか,距離を取って弓や銃で戦うか。自分の目指す戦闘スタイルを考えながらスキルを極めよう。
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感染症や病気を患い,山奥で人知れず倒れる。盗賊に挑むも返り討ちにあって捕まる。時間を掛けて稼いだお金でスキルを学んだが,思っていたような効果がなかった……これぞファンタジーという風景が広がる作品ながら,その世界は実に現実的で,ほかにはない体験ができる本作。マップに自身のいる場所や目的地が表示されないところなどはシステム的に見れば不親切だが,それが「自分で地形を覚えて冒険しなければならない」という“リアルさ”を生んでいる。
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さまざまなスキルや武器で自身を強化してゲームが用意した物語を進めるのはもちろん,あえて一般人のまま,ファンタジー世界の住人として生活するのも楽しいだろう。広大な大地を踏破していく楽しさや現実的なサバイバル,未知なるものを発見する喜びを本作で体験してほしい。
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