「不気味の谷」を越えたリアルタイムCGを実現!? スクウェア・エニックスがDirectX 12ベースのグラフィックスデモ「WITCH」を公開
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WITCHは,2012年に公開されたスクウェア・エニックスによるリアルタイム技術デモ「Agni's Philosophy」の制作チームが中心となって制作された新作デモである。Agni's PhilosophyはDirectX 11ベースのグラフィックス技術で作られたものだったが,WITCHは,MicrosoftとNVIDIAの協力により,DirectX 12を使用するデモとして制作されたそうだ。
なお,Agni's Philosophyで採用された技術については,西川善司氏によるレポート記事にて3本立てで詳しく解説しているので(前編/中編/後編),興味のある人はこちらも参照してほしい。
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披露された映像やデモは,廃墟の中で慟哭する女性を描いたごく短いものだった。デモの内容に関する詳しい説明はなかったので,内容は想像するしかないのだが,見たところAgni's Philosophyに登場した女性魔道士「Agni」と同一人物のようだ。
NVIDIAの公式Blog(英語)には動画が掲載されているので,見てみることをお勧めする。
スクウェア・エニックスはWITCHの注目すべきポイントとして,泣くという感情の描写を挙げている。講演では,デモを一時停止した状態でさまざまな角度から女性の顔を拡大して見せていたのだが,Agni's Philosophyでも見られた人肌の表現に加えて,涙によって肌が濡れた様子や,顔に付着した立体感を伴う汚れも表現されているのが見てとれた。Agni's Philosophyよりもさらに表現力が高まっているというのは,これだけでも分かるほどだ。
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WITCHの制作に協力したNVIDIAは,同社公式Blogで,「『不気味の谷』を越えることに苦労してきたこの業界にとって、マイルストーンとなる可能性を秘めたデモ」であるとWITCHを賞賛している。知っている人も多いと思うが,「不気味の谷」とは,CGやロボットで人間をリアルに表現しようとしたときに,それを見た人が感じる違和感のこと。WITCHの表現はそれを越えた,というのがNVIDIAの主張であるわけだ。
もっとも,講演のライブ中継を見ていた人たちからは,「不気味の谷」を感じたと訴える声がTwitterのタイムラインに流れていたのも事実である。不気味の谷を真に越えるには,まだやらなくてはならないこともあるようだ。
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WITCHで開発された技術が実際のゲームに盛り込まれたとき,どれくらいの表現が可能になるのだろうか。Luminous Studio採用ゲームの今後に期待したい。
なおWITCHは,5月26~27日に東京で開催される開発者向けイベント「de:code 2015」でも披露される予定とのこと。参加する予定のある人は,実際に動くWITCHを体験してみてはいかがだろうか。
Build 2015における当該講演のビデオ(Day 2 Keynote Presentationにて公開の予定)
DirectX 12を使用したリアルタイムCG技術デモを米マイクロソフト開発者向けイベントにおいて発表
-最先端技術を駆使し世界最高水準リアルタイムCGを実現-
株式会社スクウェア・エニックス(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:松田洋祐、以下スクウェア・エニックス)は、Windows 10ベースの次世代API「DirectX 12」を使用した技術デモ「WITCH CHAPTER 0[cry]」を、米Microsoft Corporation(以下、マイクロソフト)が米国サンフランシスコで開催している開発者向けイベント「Microsoft Build Developer Conference」において、現地時間4月30日(木)に初披露いたしました。
スクウェア・エニックスは、様々な新世代技術を対象とした技術研究プロジェクトに取り組んでいます。その一環として、「DirectX 12」を活用したリアルタイムレンダリングCG技術の研究を進め、このたび、マイクロソフトと米NVIDIA Corporation(以下、NVIDIA)の協力のもと、「DirectX 12」を使用した技術デモ「WITCH CHAPTER 0[cry]」(以下、本技術デモ)を制作いたしました。この研究によって得られた成果は、当社のゲームエンジン「Luminous Studio(ルミナス・スタジオ)」に盛り込み、今後のゲーム開発に活用する予定です。
本技術デモでは、世界最高品質水準のリアルタイムレンダリングCGを実現。これまでのリアルタイムレンダリング技術では困難な表現のひとつであった、人物が「泣く」という感情描写を、これまでにないクオリティで表現し、生きているかのようなキャラクターの生命感あふれる様子をリアルタイムレンダリングCGでご覧いただくことができます。
また、本技術デモは、2012年6月に発表した「Luminous Studio」の技術デモ映像「AGNI'S PHILOSOPHY ― FINAL FANTASY REALTIME TECH DEMO」の制作メンバーが中心となって制作。本技術デモにおいては、より高精細で高効率な描画が可能となりました。
スクウェア・エニックス代表取締役社長の松田洋祐は、本発表にあたり、以下のようにコメントしています。
「スクウェア・エニックスは、当社の新世代を担う技術と表現のショーケースとして、新世代技術研究プロジェクトに取り組んでいます。これは、取り組みを通じて培った成果をゲーム開発に活用して、スクウェア・エニックスが提供するゲームの品質水準を一層向上させることを目的としています。今後も、今回発表したDirectX 12を使用したハイエンドリアルタイムグラフィックス技術をはじめとして、様々な最先端技術をターゲットにした取り組みを推進してまいります。」
また、新世代技術研究プロジェクトの責任者で、スクウェア・エニックス第2ビジネス・ディヴィジョン・エグゼクティブの田畑 端は、次のように述べています。
「我々のスタジオは、常に最高峰のプリレンダリングCGとリアルタイムレンダリングCGを追求しています。今回、技術開発の一環で、Microsoft様のWindows10/DirectX 12とNVIDIA様のGeForce GTXという、ソフトとハードの両方の最先端からの協力を得て、最高水準のリアルタイムCG技術を追求するArt&Techデモを制作いたしました。この新世代技術研究プロジェクトで得られる一連の成果を、今後のゲーム制作はもちろんのこと、現在制作中の『ファイナルファンタジーXV』にも惜しみなく投入していきます。」
なお、本技術デモは、NVIDIAのGeForce GTX TITAN X-4-way SLI PCを使用して動作しています。
また、マイクロソフト社およびNVIDIA社より、以下のコメントをいただいています。
●マイクロソフトコーポレートヴァイスプレジデント兼チーフエバンジェリストSteven Guggenheimer氏
「私たちMicrosoftは、様々なWindowsデバイスのフォームファクターとグラフィックカードとの広範囲な組み合わせにおいて、DirectX 12が業界最高のパフォーマンスを実現できるように設計しています。今回のスクウェア・エニックス様の取り組みは、これからのイノベーションやゲームパフォーマンスの最適化につながるDirectX 12の可能性を示す、という貴重な役割を果たしています。」
●NVIDIA社長兼CEO Jen-Hsun Huang氏
「WITCH CHAPTER 0[cry]は、かつて試みられたリアルタイムのシネマ品質のグラフィックスの中で最も野心的なものです。スクウェア・エニックスの偉業は驚異的というほかありません。スクウェア・エニックスの素晴らしいチームがWITCH CHAPTER 0[cry]に命をふきこむためにNVIDIA GAMEWORKS EFFECTS STUDIOを頼ってくれたことを嬉しく思います。今回のデモは、これからのビデオゲームの美と芸術性の予告編と言えるものです。」
当社は今後も、ゲーム開発における最先端技術の研究開発を推進し、世界最高水準の高品質なエンタテインメント・コンテンツを提供してまいります。
なお、「Microsoft Build Developer Conference」で公開した「WITCH CHAPTER 0[cry]」のデモ映像は、次のサイトでご覧いただけます。
http://channel9.msdn.com/Events/Build/2015/KEY02
また、「WITCH CHAPTER 0[cry]」は、日本マイクロソフトが5月26日(火)、27日(水)に東京で開催する技術コンファレンス「de:code 2015」へ出展する予定です。日本においても、本技術デモの最新情報をご紹介いたしますので、ぜひご期待ください。
「de:code 2015」の詳細は、以下サイトをご覧ください。
https://www.microsoft.com/ja-jp/events/decode/2015/default.aspx
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