『Halo 4』は少し怖い? アートワークへのこだわりを紹介【『Halo 4』スタジオツアー その3】
●『Halo 4』のアートワークが目指すものとは?
2012年3月某日、Xbox 360の期待作『Halo 4』を手掛ける343Industries(インダストリーズ)のスタジオツアーが開催された。ファミ通.comでは343Industriesスタジオツアーで得た『Halo 4』の最新情報を4つの記事にわたって展開する。第3弾では、本作のアートワークに関する情報をお届けしよう。
■チーフ、武器は真実味を重視したデザインに
『Halo(ヘイロー)』シリーズは人類と(若干大雑把なくくりになるが)エイリアンの戦いを描く作品だ。その関係性において、人類側の代表とも言える主人公マスターチーフは誰が見ても英雄的な強さを感じさせるルックスをしていなければいけないし、一方のエイリアン側には人類への脅威を全身から放つような凶暴性が求められるだろう。『Halo(ヘイロー)』シリーズはこの点において確かな結果を残したと言える。フィギュアや映画、アニメなどさまざまなメディアへと作品が派生できたのは、アートワークが魅力的だったからにほかならない。当然、『Halo 4』においてもアートワークはゲームを構成するうえで極めて重要な要素となっている。
アートディレクターを務めるケニス・スコット氏は、『Halo(ヘイロー)』シリーズは第1作目の発売から10年が経過したこともあって「しばらくプレイしていない人たちもたくさんいると思う」と話し、『Halo 4』では「プレイヤーを世界に取り戻したい」と説明。そこでケニス氏は「プレイヤーを独特の感情を引き起こすところへ置き、経験を感じ取ってもらう」というコンセプトで、アートワークを手掛けることになったという。たとえば、キャンペーンモード冒頭に登場するコルタナの足元にあるプレート。見た目的にあまり重要とは思えない部分だが、本作ではこういった細かい部分を「病的にまで詳細に描いた」(ケニス)という。ひとつひとつのオブジェクトにこだわることで、プレイヤーの経験にバリエーションを与える、というのが狙いだ。
『Halo 4』のマスターチーフはデザインに変更が加えられ、より真実味が感じられる姿となったという。「誰も見たことのない最新テクノロジーを搭載した800ポンドのバイオスーパーヒーロー」とケニス氏は解説する。また、チーフの歴史や、彼が人間であることをちゃんと認識しもらえるようなデザインを心掛けたという。チーフの相棒とも呼べる“コルタナ”は「チーフを反映する存在でもある。弱い人間性の部分も表現し、ハグしたくなるようなリアルなキャラクター」になっているという。確かに、キャンペーンモードのデモで見たコルタナはより人間らしく、表情が豊かな印象を受けた。一方で、チーフの変化については、主観視点ということもあってケニス氏の語ったことを実感できるシーンはなかったが、それは物語の進行で明らかになるのかもしれない。
▲『Halo 4』のマスターチーフ。
武器は、チーフ同様より真実味が感じられるもデザインを目指す。ケニス氏は「『Halo(ヘイロー)』シリーズの武器はアイコン的なシルエットで認識がしやすい」と従来までのデザインの利点を認めつつも、「真実味があることが重要だから、障害になる部分は取り除いた」と話している。ケニス氏は乗物についても言及。同氏いわく『Halo(ヘイロー)』シリーズの乗り物は設定上水力発電で動いているそうで、『Halo 4』では破壊したときなどにそれがしっかりとわかるデザインになっているそうだ。
▲バトルライフル。より真実味が感じられるデザインになったという。
▲こちらDMR (デジグネイテッド マークスマン ライフル)。
そして最後にエネミーだが、「モンスターは怖くしたい。以前よりも怖くてゾッとするような恐怖感や異質感を抱いてもらえるようにした」とケニス氏は話している。具体例として挙げられるのはコヴナントに属する“グラント”。同キャラはこれまでのシリーズでどちらかと言えばコミカル、ともすればかわいらしいと思えるデザインだったが、下の画像からも分かる通り『Halo 4』では凶悪度がグッとアップ。とくに、ガスマスクを取り、鼻に管がつながった顔面部分はグロテスクと言えるほど……。ケニス氏的に今回のグラントは歯が見えているところがポイントだという。
▲ケニス氏が話の中で挙げていたグラント。顔の部分がグッと不気味さを増した印象だ。
▲コヴナント・エリート族のデザインも公開。
そのほか取材陣からの質問では、従来までのシリーズで多く使われていたパープルの色合いが減ったのでは? という興味深い指摘もあった。これについてケニス氏は「イエス&ノー」と回答。『Halo 4』のアートワークはプレイヤーの経験や感情を中心に考えて作られており、カラーについては「プレイヤーを取り込み、状況を感じ取ってもらう」という判断の基選ばれているそうだ。つまり意図的にパープルを減らしたのではなく、結果的に減ったということだろう。
■怖い『Halo 4』とは? アートディレクターにインタビュー
スタジオツアー中、ケニス氏に話を聞く機会を得た。同氏の経歴や『Halo 4』のアートワークのコンセプトなどを聞いてみた。
▲アートディレクターのケニス・スコット氏。
――この仕事に関わる前は、どんな作品に関わっていたのでしょうか?
ケニス id Softwareでアートディレクターをしていました。『Quake 3』、『Wolfenstein』、『Doom 3』などに関わり、『Rage』では最初の4年間と『Doom 4』で数か月間アートディレクターを務めています。なので『Halo(ヘイロー)』シリーズに関わるのは今回が初めてですね。
――『Doom』などを手掛けてきた経験が、『Halo 4』にも影響を与えているのでしょうか?
ケニス 343のスタッフにはid Softwareから来た人たちもいて、『Halo 4』をデザインすること皆ワクワクしています。
――『Halo 4』に関わるは『Halo(ヘイロー)』シリーズのことをどう思っていましたか?
ケニス 競走相手であり、世界がこのフランチャイズに夢中になっているのでジェラシーを感じていたのも確か。個人的にはモンスター、サイエンス・フィクションが好きなので非常に魅力的なゲームだと思っていたので、関わることができてとても楽しいです。また、自分のチームをイチから作る機会を貰えたことは、自身のキャリアの中でもっともワクワクする経験。周囲人たちから多くを学ぶことができるのは、すばらしいことですからね。
――『Halo(ヘイロー)』シリーズとして最低限守ってほしい部分の指示などはあるのでしょうか?
ケニス それはとくにありませんが、私は『Halo(ヘイロー)』シリーズのよさを理解し、楽しんで開発するという枠の中で仕事をしています。この世界観を楽しむようになれば、それを愛するようになる。愛情があれば純粋にいい仕事ができると思っています。ただ今回は、いままでの『Halo(ヘイロー)』よりも少しだけ怖くしたい。
――『Halo(ヘイロー)』で表現する怖さとは具体的にどういったものでしょう? このシリーズはいままで、怖さとはあまり関連がなかったと思います。
ケニス いちばん大事なのはマスターチーフがヒーローとして活躍する点であるということは変わりない。その一方で、ヒーローとは対照的な悲哀や憂鬱を表現することで怖さが生まれると思っています。
――マスターチーフというキャラクターにかなりこだわりがあるようですね。
ケニス 本作では800ポンドの最新のテクノロジーを搭載したバイオスーパーヒーローとしての重量感を実感してほしいと考えています。またアニメーションにできるだけ柔軟性を与えたいとも思う。例えば今回は肩や腰の関節に柔軟性を持たせたので、アニメーションでヒーローっぽいポーズを作ることも可能になっているんです。
▲『Halo 4』のコルタナ。表情がより人間らしくなった。
――コルタナもデザインが大きく変化している印象を受けました。
ケニス デザイン自体はそれほど大きく変更していないのですが、『Halo(ヘイロー) 3』と比較してポリゴン数が増えているので、大きく変化したように見えるのかもしれません。ただ今日見てもらったのはまだ完成版ではないので、最終的にいまとは多少違うものになるでしょう。
――表情がとても人間らしく、優しい雰囲気になったと思います。
ケニス 『Halo 4』は表情のアニメーションを作るシステムがすばらしいので、さまざまな表情を見せることが可能です。また、今回お見せしたシーンは、チーフに5年間会っていなかったので感情的に優しくなっていました。
――コンセプトアートにはさまざまな風景が描かれていました。あれらは実際ゲームに登場するのでしょうか?
ケニス いまお見せしているコンセプトアートは、すべてゲーム内でも実際に作られています。
――柱が空から突き出ているコンセプトアートがとても印象的でした。
ケニス あれはシールドの中の世界という設定です。メタルシールドの内部に入っていくと、そこには惑星がある。柱はあるものを支えている状態で……すいません、いまはこれ以上のことは話せません(笑)。
▲空から柱のようなものが突き出しているコンセプトアート。
▲そのほかにも複数のコンセプトアートが公開に。ケニス氏の話では、これらはすべてゲーム内に登場するエリアだという。
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『Halo 4』は少し怖い? アートワークへのこだわりを紹介【『Halo 4』スタジオツアー その3】 - ファミ通.com
http://www.famitsu.com/news/201204/20012940.html
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