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    AMD,Mantle版「Beyond Earth」の見どころを解説。R9 290XはGTX 980より速い!?

     
     2014年10月24日に発売されたシミュレーション「Sid Meier’s Civilization: Beyond Earth」(PC / Mac,以下,Beyond Earth)。このゲームがAMD独自のグラフィックスAPI「Mantle」に対応していることは,あまり知られていないかもしれない。

     北米時間2014年10月23日,AMDは同社公式Blogにて,Beyond EarthにおけるMantle最適化のポイントを説明した。それによると,Beyond EarthをMantle環境で実行する場合,「CrossFire」環境でのレスポンス向上やマルチコアCPUの積極的な活用によるフレームレートの向上が実現されるのだという。
     本稿ではこのBlogの概要を説明したい。なお,この話はMantleの仕組みが深く関わってくるのだが,それらについては以下の記事を参照してほしい。

    HDMI 2.0対応に次世代GPU,そしてMantle。AMDのデスクトップGPU担当に20分で聞けるだけ聞いてきた



    Beyond Earth対応のCatalystは14.9.2 Beta以降に


     まずBlogの冒頭では,Beyond EarthでMantleを利用するために必要なグラフィックスドライバは,本稿執筆時点では提供されていないβ版グラフィックスドライバ「Catalyst 14.9.2 Beta」以降が必要と記載されている。このCatalyst 14.9.2 Betaを導入したPCでBeyond Earthを実行しようとすると,Mantleでの動作を選択できるようになるという。
     現時点での最新版はCatalyst 14.9.1 Betaであるため,Mantle環境でプレイできるのはもう少し先になるようだ。


    マルチGPU&マルチコアCPU環境の性能を引き出す

    Mantle版Beyond Earth


     次に説明されているのは,CrossFire環境に合わせた改良点についてである。ちなみにBeyond Earthは,現時点で2-wayまでのCrossFire環境に対応しているとのことだ。

     複数枚のAMD GPU搭載カードを装着したCrossFire環境では,3種類の描画方式に対応している。複数のGPUがそれぞれ1フレーム分の映像をレンダリングする「Alternate Frame Rendering」(以下,AFR)。1フレームの映像をGPUの数だけ水平に分割したうえで,各GPUがそれぞれをレンダリングして最終的に1枚を生成する「Split Frame Rendering」(以下,SFR。Scissorとも呼ぶ)。そして1フレームをタイル状に分割して複数GPUがそれぞれをレンダリングする「Super Tiling」の3種類がそれだ。とくにAFRは,複数GPU対応がシンプルに実現できる利点があるため,マルチGPU環境での標準的な手法として利用されている。

    Mantle
     AMDのBlogでは,AFRは複数のGPUを利用して描画性能を向上できると利点を述べたうえで,いくつかの欠点もあることを指摘していた。大まかに言えば,ユーザーの操作やゲーム上での変化が画面に反映されるまでわずかだが時間がかかり,遅延して見えるのだ。
     そこで,Beyond EarthのデベロッパであるFiraxis Games(以下,Firaxis)では,SFRでレンダリングを行うエンジンを開発した。それによって,Mantleモードで動作するBeyond Earthでは,こうした遅延を生じさせることなくCrossFire環境による並列化の利点を引き出せるようにしているそうだ。

     並列処理によってハードウェア性能を引き出す工夫は,CrossFire環境だけに留まらない。MantleではマルチコアCPUの利点を生かせるように,CPUからGPUへの処理命令(コマンド)を溜めておく「コマンドバッファ」をゲームプログラム側で管理できる仕組みになっている(関連記事)。
     Beyond EarthのMantle版もこの利点を生かしており,マルチコアCPU環境では高いフレームレートを実現するのに一役買っているとのことだ。

     Mantleモードで動作するBeyond Earthでは,AMDが開発したアンチエイリアシング手法である「Enhanced Quality Anti-Aliasing」(以下,EQAA)を利用することも特徴に挙げられている。
     EQAAはMantleで実現された新しい手法というわけではなく,Radeon HD 6900シリーズで導入されたものだ(関連記事)。EQAAではサブピクセルをサンプリングするときに,カラー値(Color Sample)に加えて深度値(Coverage Sample)も取得することでより自然で滑らかなアンチエイリアシング処理を実現すると謳われている。

    EQAAの説明図。上側が通常のMSAAで,下側がEQAAの場合。Color Sampleの2倍,つまり4xMSAAならば,8個のCoverage Sampleを得て計算を行う
    Mantle

     Mantleに対応したGPUでBeyond Earthのアンチエイリアシング設定を有効にすると,自動的にEQAAが使われるとのこと。ユーザーが意識しなくても,Mantle対応GPUなら,より自然なアンチエイリアシングが適用された映像でゲームをプレイできるだろう。


    MantleモードのR9 290XはGTX 980を上回る


     AMDのBlogでは,MantleモードのRadeon R9およびR7シリーズとGeForce GTX 900およびGTX 700シリーズで,Beyond Earthの平均フレームレートを計測した値を公開している。
     それによると,解像度3840×2160ドットで画質モード「Ultra」プリセット,8xAAの環境では,「Radeon R9 290X」が「GeForce GTX 980」のスコアをほんのわずかだが上回ったのだという(使用されたGeForce側のドライバは344.16。ちなみにBeyond Earthに最適化されたドライバは344.48となる)。

    解像度3840×2160ドットで動作させたBeyond Earthの平均フレームレートを比較したグラフ
    Mantle

     そのほかにも,解像度2560×1440ドット/Ultra/8xAAでは「Radeon R9 280X」が「GeForce GTX 770」を上回り,「Radeon R9 270」が「GeForce GTX 760」が匹敵するフレームレートを記録したとある。
     解像度1920×1080ドット/Highプリセット/4xAAの場合は,「Radeon R9 260X」が「GeForce GTX 750 Ti」を上回るとのことだ。

    解像度2560×1440ドットで動作させたBeyond Earthの平均フレームレート比較グラフ
    Mantle

    解像度1920×1080ドットで動作させたBeyond Earthの平均フレームレート比較グラフ
    Mantle

     GeForce GTX 980のレビューで,「Battlefield 4」(以下,BF4)のフレームレートを比較したときには,MantleモードのRadeon R9 290XがGeForce GTX 980にやや劣るフレームレートになっていた。それから考えると,Beyond EarthにおけるMantle最適化は,BF4のよりも進化したものになっているのかもしれない。

     対応するグラフィックスドライバが正式にリリースされてからになるとはいえ,Mantle対応Radeonユーザーにとって今回のBlogは,期待に持てる内容になっているのではないだろうか。

    AMD公式Blogの当該ポスト(英語)

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