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    Access Accepted第421回:ゲームカルチャーを伝えるドキュメンタリー映像が花盛り

     
     2012年に公開されたドキュメンタリー映画「Indie Game: The Movie」は,インディーズゲームを中心に欧米ゲームカルチャーの今を伝える優れた作品だった。これに影響されたのか,最近こうしたゲーム関連のドキュメンタリー映像が次々に制作されるようになってきた。広告としての側面が強いものもあるが,ゲームに関わる人や物事を記録として保存しておくのは非常に有意義なことだと筆者は考えている。今週は,そんな“オフハリウッド”なドキュメンタリー映像作品をいくつか紹介したい。


    ゲームやゲームカルチャーを記録し保存することの意義


     本連載でも何度かお伝えしているように,北米ゲーム産業では,映画やコミックスとゲームをタイアップさせたクロスメディア展開が盛んだ。以前に比べて,ゲームをベースにした実写作品は減ったような気がするが,それでも「Silent Hill: Revelation 3D」(2012年)や「Need for Speed」(2014年)といったハリウッド映画は,それなりの成功を収めている。

    Electronic Artsの人気レースゲームシリーズを原作にした「Need for Speed」が2013年始めに公開され,160億円ほどの興行成績を記録したことが記憶に新しいが,ゲームを映画化した定番シリーズといえるのが「バイオハザード」だ。その第6作となる「Resident Evil: Rising」は,9月に全米公開される予定になっている
     今後は,カプコンの「バイオハザード」シリーズの映画版最新作「Resident Evil: Rising」が,ミラ・ジョヴォビッチさんを主役として,北米で2014年9月12日に公開される予定になっており,さらに2015年8月には「Assassin's Creed」,2016年3月には「Warcraft」が公開を待っている。「ハリウッドのトレンド」とまではさすがに言えないが,ゲームを原作とした映画はもはや当たり前のものになっているのだ。
     さらに,「Mass Effect」「The Last of Us」「Deus Ex: Human Revolution」「Metal Gear Solid」,そしてモバイル向けの「Angry Birds」「Temple Run」のようなタイトルが映画化に向けた準備に入っているという。

     こうしたハリウッド製の娯楽映画とは別の流れとして,ここでは,「ゲームカルチャー」を映像として残しておこうというドキュメンタリーに注目したい。
     DVDなどのメディアだけでなく,映像ファイルそのものまでインターネットを使って直接消費者に販売できるようになったことに加え,最近は安価な映像機器でも十分な性能を持っていることから,以前に比べて映像作品の制作に要求される予算は少なくなった。そうした中から生まれてきた“オフハリウッド”の独立系制作会社が,ゲームカルチャーを記録しようと考えたわけだ。

     その1つが,2012年に公開されて話題を呼んだ「Indie Game: The Movie」だろう。
     「Super Meat Boy」を開発したTeam Meatのエドモンド・マクミラン(Edmund McMillan)氏トミー・レフェネス(Tommy Refenes)氏「Fez」フィル・フィッシュ(Phil Fish)氏,そして「Braid」で知られるジョナサン・ブロウ(Jonathan Blow)氏という,カナダ在住のインディーズゲーム開発者(あるいはチーム)が,さまざまな困難に直面しつながらも三者三様に作品を作り上げていく過程を収めたもので,2012年のサンダンス映画祭でドキュメンタリー編集賞を獲得した。欧米のインディーズシーンの現状が良く分かる内容で,2013年には,彼らのその後を追った短編も公開されている。

    テーマの面白さだけでなく,構図や編集などにも凝った「Indie Game: The Movie」は,映画界で高い評価を得た。その後日談となる短編映像「Indie Game: The Movie Special Edition」も2013年末に公開されており,フィル・フィッシュ氏が行った日本ゲーム業界批判についても触れられている

     この「Indie Game: The Movie」の成功に影響されたのか,このところゲームをテーマにしたドキュメンタリー映画が次々と制作されているのだ。コマーシャルツールとして作られた作品もあるが,いずれもゲーム業界やゲームカルチャーの一面を切り取り,多くの人々に伝える貴重な記録であり,このような記録を制作し保存することは,将来的にも意味があると筆者は考えている。
     そんな作品をいくつかピックアップして,簡単に紹介しよう。


    ■Free-to-Play


    Free to Play: The Movie

    Clik to Play
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     2011年にドイツのケルンで行われた「Dota 2」初のトーナメント大会「The International 2011」の様子を中心にしたドキュメンタリーが「Free-to-Play」で,制作はゲームの開発元でもあるValveだ。今年3月に開催されたGame Developers Conference 2014でプレミア上映が行われており,現在はYouTubeなどで無料公開されているので,気になる人は見てほしい。
     親にプロゲーマーとしての生き方を認めてもらおうと苦悩するシンガポールの選手,お金がないので,いまだにCRTディスプレイを使いながら大会を勝ち抜いてきたアメリカの選手,そして,父親の事故死によって引きこもりになってしまったが,ゲームのおかげで社会との絆を感じ始めたウクライナの選手など,大会の挑戦者達の素顔を追いつつ,ゲーム大会の白熱した雰囲気をしっかりと伝えている。


    ■Good Game: A Year with the Evil Geniuses


    Good Game - Official Trailer

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     テキサスに本部を置き,最近では「ストリートファイター」「Call of Duty」などの専門チームを新たに編成するなど,拡大を続けるプロゲーマー集団The Evil Geniuses。「Good Game: A Year with the Evil Geniuses」は,彼らの中から「StarCraft II」チームに焦点をあて,1年にわたって密着取材したドキュメンタリー映画だ。
     「StarCraft」シリーズといえば,多くのファンとプロゲーマーに支えられながら10年以上も愛されてきた作品。映像でも,高校の頃からプロゲーマーを夢見て,周囲や家族から社会不適合者と見られながらも,ゲーム一筋に練習を積んできたメンバーの姿などが描かれている。


    ■Art of the Game


    The Art of the Game Trailer

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     「Art of the Game」は,ヒットゲーム「Borderlands」のアセットを利用して3Dアニメーションを作成する,という課題を与えられた学生達の姿を追ったドキュメンタリーだ。
     カリフォルニアの芸術専門学校The Academy of Art Universityに在籍する学生達が,それぞれのアニメプロジェクトを企画/制作し,それらを開発元のGearbox Softwareへ持ち込んでプレゼンテーションするまでが収められている。
     トレイラーにはGearboxのCEOを務めるランディ・ピッチフォード(Randy Pitchford)氏らが登場しているが,「Art of the Game」はGearboxのほかに2K GamesとThe Academy of Art University,そしてMachinimaの協賛によって制作が進められており,5月始めには,MachinimaがTwitchでプレミア公開を行った。ある意味,企業主導のブランド広告としての側面も強いのだが,登場する人物達からはゲームへの愛と熱意が十分に伝わってくる。


    著者紹介:奥谷海人
     4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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