ASUS,未発表チップセットIntel Z97を採用する「R.O.G.」のゲーマー向けマザーボード3製品を披露。ただしハイエンドはCOMPUTEXまでお預け
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多数の製品が公開されているなかで,ゲーマー向けブランド「R.O.G.」(Re
なにぶん,正式発表前のチップセットを採用した製品ばかりなので,対応CPUやチップセットの機能といった詳細仕様や価格は非公開のままだ。対応CPUは,現行の第4世代Coreプロセッサこと「Haswell」と,その改良版である「Haswell Refresh」や「Devil’s Canyon」(開発コードネーム)になるといわれているものの,少なくともASUSからのコメントはない。
さて,今回公開されたゲーマー向け製品は,以下の3製品である。
ATX製品
- MAXIMUS VII HERO
- MAXIMUS VII RANGER
microATX製品
- MAXIMUS VII GENE
R.O.G.のマザーボードに詳しい人なら,ラインナップを見ただけでピンとくるかもしれないが,今回発表された製品はいずれも比較的安価な価格帯の製品だ。となれば,「ハイエンド品はどうなったの?」という疑問が当然湧くと思うが,これについては後ほど説明するとして,まずはこの3製品を順に見ていこう。
R.O.G.マザーボードがM.2インタフェースを標準搭載
まずは,ATXマザーボードの「MAXIMUS VII HERO」だ。このシリーズは比較的安価な価格帯に置くことで,ライトゲーマーでも手の届きやすいマザーボードを目指したという「MAXIMUS VI HERO」の後継機種である。
前モデルは,拡張スロットやSATAポート数を少なめにし,凝ったオーバークロック機能も搭載しない製品だった。その基本コンセプトは今回も継承されているようだ。披露された実機では,PCI Express(以下,PCIe)のx16スロットが3本,×1スロットが3本と,確かに少なめではある。
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SATAポートの話が出たついでに触れておくと,今回発表されたASUS製の一般向けマザーボードの上位モデルには,新しいストレージ接続用インタフェース規格「SATA Express」を備える製品があるのだが,MAXIMUS VII HEROを含むR.O.G.の3製品は,これに対応していない。SATA Expressは今後登場する高速なSSDの装着に使われるインタフェースであるため,今のところASUSでは,プレミアムな機能に位置付けられているようだ。
そう考えると,R.O.G.のマザーボードでも上位モデルには,SATA Expressが採用されるのかもしれない。
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左写真の左側に見える上下2段合わせて6ポートが,SATA Express対応ポートだ。右写真はMAXIMUS VII HEROのSATAポートで,見てのとおり普通のSATAポートが8つあるだけ |
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USBキーボードに人気のマクロを割り当てる「KeyBot」機能を搭載
ASUSのマザーボードといえば,2013年6月に発表された製品に独自の専用ソフト「Sonic Radar」を提供して,物議を醸したことを覚えている人もいるだろう(関連記事)。
これが好評だったのかどうかは分からないが,ASUSとしてはゲーマー向けの独自ソフトウェア路線に手応えがあると感じたようだ。Intel 9シリーズを搭載するR.O.G.マザーボードでは,新しいゲーマー向け機能として,「KeyBot」なる新機能を導入している。
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しかも,マザーボード上に独自のチップを搭載して実現しているので,Windowsが動作している状態だけでなく起動時にも機能するという。電源オフ状態では,[F11][F12]キーと[Delete]キーを特殊な起動モード用ボタンに割り当てることが可能で,オーバークロック状態で起動したり,UEFI BIOSを表示して起動したりといったことが可能になるという。
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KeyBot機能で可能になることの一覧。Windows上ではキーボードマクロを,電源オフ状態では特定モードでの機能が可能になるという |
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ASUSではKeyBot機能により,「どんなキーボードもゲーム用にする」と豪語しているのだが,現状で可能なことを見ると,「そこまで手間をかけて実装するほどの機能か?」と思わずにはいられない。ハードウェアで実現している以上,やろうと思えばもっと高度なこともできそうだ。とはいえ,やりすぎるとこれもまたハードウェアチート扱いされる機能になりそうであり,なんとも評価しがたい面があることは否めない。
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HEROの下位モデルとしてMAXIMUS VII RANGERが登場
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写真を見比べると分かるとおり,
なお,MAXIMUS VII RANGERの電源部チョークコイルには,表面積を拡大することで放熱を促進するヒートシンク状の加工が施されている。なぜ安価なはずのMAXIMUS VII RANGERにそれがあり,MAXIMUS VII HEROにないのかという理由は不明だ。
今回のラインナップでは唯一のmicroATXマザーボードである「MAXIMUS VII GENE」は,前モデルにあたる「MAXIMUS VI GENE」のコンセプトを継承しつつ,さまざまな点で変更された製品である。
とくに大きな違いは,前モデルではマザーボード上に実装されていたサウンド機能が,独自の小型サウンドカード「SupremeFX Impact II」に変更された点にある。仕様の詳細は未公開だが,2013年6月に発表されたMini-ITXマザーボード「Maximus VI Impact」には,同じように独自インタフェースを使う小型サウンドカード「SupremeFX Impact」を採用していたので,これの改良版をmicroATXマザーボードでも採用することにしたようだ。
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サイズに制約のあるmicroATXマザーボードで,サウンド回路の周辺にノイズガードを施すよりも,サウンドカード型にしてしまうほうがノイズ対策は容易になる,という判断があったのかもしれない。
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なお,前モデルが採用していたASUS独自の拡張インタフェース「mPCIe Combo II」は備えておらず,その代わりにMini PCIeスロットが装備された。M.2インタフェースそのものを別に用意しているので,独自の複合機能インタフェースは必要なくなった,ということなのだろう。
ハイエンドのEXTREMEやFORMULAはCOMPUTEXで発表か?
さて,冒頭でも述べたように,R.O.G.マザーボードの中でもハイエンドに位置付けられる「EXTREME」や「FORMULA」シリーズの後継製品は,今回発表されていない。もちろん,ラインナップからなくなったというわけではないそうなので,ハイエンドのマザーボードを求める人も安心してよさそうだ。
ASUSとしては,ハイエンド製品をあまり早く発表してしまうと,それに盛り込んだ新仕様を他社に真似されやすくなってしまい,発売される頃には差別化要因にならなくなってしまうという危惧があるらしい。そのため,EXTREMEやFORMULAシリーズの後継製品は,2014年6月3日から台北市で開かれるPC関連展示会「COMPUTEX TAIPEI 2014」に合わせての発表となりそうだ。
それらの新製品では,どんな新仕様を盛り込んでくるのだろうか。今から楽しみでならない。