スパイク・チュンソフトから2015年5月21日に発売される「ウィッチャー3 ワイルドハント」(PS4 /Xbox One,以下ウィッチャー3)は,数々のメディアやRPGファンから高い評価を受けてきたアクションRPGシリーズの最新作だ。 開発を手掛けるのは,ポーランドに拠点を置くデベロッパCD PROJEKT REDで,日本語版のローカライズはスパイク・チュンソフトが担当している。 物語の舞台となるのは,南方のニルフガード帝国と,異世界から現れた死霊の軍勢“ワイルドハント”の脅威にさらされた北方諸国。プレイヤーは,行方をくらませた恋人と義理の娘を捜す主人公ゲラルトとなり,混沌渦巻く広大なオープンワールドの世界を冒険することになる。 今回はPlayStation 4版のウィッチャー3をプレイしてみたので,本作の魅力をたっぷりのスクリーンショットと合わせて紹介していこう。伝説のモンスタースレイヤーを操作するという緊張感
「ウィッチャー」シリーズの魅力といえば,やはり主人公のゲラルトが持つヒーロー像だろう。怪物退治を生業にするウィッチャー達の中でも,“伝説の白狼”と呼ばれるゲラルトは,いかなる状況下においても冷静に物事を判断して解決する力と知識を持っている。それゆえ,どんな事件や争いに巻き込まれたとしても安心して見ていられるのだ。 もちろん,実際にゲラルトを操作するのはプレイヤー自身なので,伝説のモンスタースレイヤーがゴロツキに勝つか負けるかもプレイヤーの腕に委ねられる。ゲラルトというロール(役割)は,半端な覚悟では務まらない。伝説的な存在であるゲラルトを操作するというのは,なかなかのプレッシャーだ |
本作には,50時間以上ものボリュームを持つメインクエストと,人々の依頼を解決していくサイドクエストの2種類が用意されている。ゲラルトは双方のクエストを通じてさまざまなモンスターを退治することになり,グリフィンやワイバーンといった大型モンスターとの戦いでは大迫力の戦闘が楽しめるのだ。 ウィッチャーは戦闘の際,対人用の鋼の剣と,対モンスター用の銀の剣の2本を使い分ける。適切な剣で攻撃しないと効果的なダメージを与えられないのだが,本作では敵に合わせて適切なほうを自動で抜いてくれるため,プレイヤーがいちいち選択する必要はない。メインクエストで最初に戦うことになる大型モンスター「グリフィン」。空にいることが多いので,石弓が有効だ |
倒したグリフィンの頭は討伐の証として装備できる。馬にくくりつけて持ち運ぶ演出に,こだわりが感じられる |
ゲラルトは,5種類の印(魔法のようなもの)を初めから習得している。敵を燃やしたり,精神を支配したりなど,うまく使うことで戦闘を有利に運ぶことが可能だ |
戦闘前の下準備もウィッチャーの大切な仕事だ。あらかじめ錬金術で霊薬や抽出液を作っておけば,戦闘中に体力を回復したり,自身を強化したりすることができる。このように,錬金術は本作における重要な要素の1つになっているので,フィールド上で素材を見つけたら忘れずに採取しておこう。錬金術に使う素材の種類はさまざま。フィールド上に生えているものが多いが,中にはモンスターを倒すことで入手できるものもある |
素材さえ揃っていれば,ボタン1つでアイテムを錬成できる |
モンスターを倒したり,クエストを完了したりして経験値を溜めるとレベルが上がり,アビリティポイントを獲得する。ポイントは,「戦技」「印」「錬金術」「全般」のどれかに割り振ることで,プレイスタイルに合わせた能力を伸ばすことが可能だ。とくに,全般のカテゴリにある「生存本能」を取ると体力が大幅に増加するので,早めに習得しておきたい。モンスターなどから手に入る「異変誘発剤」を装備すれば,基礎ステータスの底上げができる |
また,強力な装備品を身に着けることも重要だ。装備品は,宝箱や敵からのドロップ,あるいは街にいる商人などから手に入る。装備品はランク付けされており,ランクの高いものほど強力な効果が付いていることが多い。こういった高ランクのアイテムを求めて,凶暴なモンスターの巣や,盗賊の野営地に足を運ぶのも,オープンワールドの世界を冒険するうえでの醍醐味の1つだ。フィールド上には,「盗賊の野営地」「怪物の巣」「ダンジョン」「守られた財宝」といった危険なエリアが存在する。腕に自信があれば,こういった場所に足を運んで,レアアイテムを手に入れよう |  |
ゲラルトは,モンスターに悩まされる人々を助けるだけではなく,時には政治や家庭の問題にまで首を突っ込む(というより巻き込まれる)ことがある。とくに事件性の高いクエストでは,ウィッチャーの感覚を使って犯人を追っていくという,探偵ドラマのような展開が待っている。そして,手がかりを見つけるたびにゲラルトの鋭い考察が入るため,プレイヤー側は感心するばかりだ。どんな小さな手がかりでも犯人像につなげていく姿は,まさに名探偵ゲラルト |
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重要な手がかりは赤くピックアップされるので,見つけやすいのが嬉しいところ |
本作では物語を進めていく中で,難しい決断を迫られる場面が幾度も登場する。そして,決断の結果,たとえ悲惨な結末が待っていようがストーリーはそのまま進行していくのだ。こうした決断の積み重ねは,ゲラルトを取り巻く人々の運命や,彼自身の物語に影響していき,まさにゲラルトの人生そのものを綴っていくかのような感覚が味わえる。本作における最大の魅力は,ここにあるといえるだろう。力でねじ伏せるか,印で相手の精神を操り平和的(?)に解決するかはプレイヤー次第 |
時には素早く決断を下さなければならないことも |
そして時には,ある意味で重大な(?)決断を下さなければならないことも…… |
プレイヤーの眼前に広がる美しくも残酷な世界は圧巻の一言
プレイヤーが冒険することになる北方諸国の広さは,前作のテメリア王国と比べて約35倍となっている。前作をプレイしていない人には,まったくイメージできないかもしれないが,その広さは,オープンワールドを採用した昨今のゲームタイトルと並べても頭一つ抜きん出ている感がある。北方諸国はとにかく広いので,馬にまたがって移動するのが基本だ。馬は,屋外ならばいつでも呼び出せる |
ファストトラベル専用の標識にアクセスすれば,ほかの標識が設置されている場所へと瞬時に移動できる |
フィールド上には,さまざまなモンスターが跳梁跋扈しており,それらを退治することで,付近の村が復興したり,行商人が通れるようになってより良いアイテムが購入できるようになったりする。このように,プレイヤーの行動は人々の生活に影響をもたらすこともあり,それがクエストとしてではなく,“知らぬうち”に起きているというのが面白いところ。人口密度ならぬイベント密度も高めだ。フィールドをふらふらと歩いているだけで,次から次へとなんらかのイベントに遭遇する |  |
そしてなにより,高品質なグラフィックスで描かれる景観が素晴らしい。地平線に沈んでゆく夕日や,曇天から差し込む太陽の光,晴天のもとで輝く湖の表面など,どこから眺めても,ウィッチャー3の世界は息を呑むほどの美しさだ。 その一方で,白骨の吊るされた大木や,モンスターに襲われた農民の死体,それを漁る盗賊,さらには戦火の爪痕が残る焼け野原など,思わず目を背けたくなるような光景も目に入る。このギャップが,本作の持つダークファンタジーという側面をうまく引き出しているように感じた。 また,街に入ると人々の生活を見ることができる。とくに,ゲーム内屈指の広さを誇る巨大都市ノヴィグラドは,女郎屋街や魚市場,大司祭広場など,区画ごとにさまざまな顔を持っており,歩いているだけでも楽しいのだ。街ではトリスやゾルタン,ダンディリオンといった旧友と出会うことも |  |
ミニゲームで冒険の息抜きをしよう
シリーズではおなじみのミニゲームを始めとする息抜き要素は,本作にもしっかりと用意されている。なかでも,「グウェント」と呼ばれるカードゲームは,ミニゲームの域を越えており,好きな人はとことんハマる作りになっている。グウェントは,デッキを持ち寄って戦うカードゲームだ。カードは200種類ほど用意されており,さまざまな場所で入手できる |
ルールは,デッキから引いてきた10枚のカードを使って戦い,2ラウンド先取したほうの勝ちというもの |
カードには戦力値が書かれており,戦場に出したカードの総合戦力値で争うことになる |
特定のカードの戦力値を1にしたり,相手の戦力になる代わりにデッキからカードを2枚引いたりといった特殊なカードもあり,意外と奥が深い |
グウェントでの勝負は,さまざまなNPCに申し込むことができるので,どんどん挑んで腕を磨いていこう。グウェントの大会を開催している街もあるようだ |
ほかにも,拳闘や競馬といったアクティビティで賭け事をしたり,特定の女性キャラクターとロマンスをしたり,伸びてきたヒゲを剃ったり,髪型を変えたりすることも可能だ。こういった要素はストーリークエストの流れで開放される。お金をかけて強者に挑む拳闘は,本作にも健在だ |
競馬では,馬の体力の管理が重要になる。体力を温存しつつ,どのタイミングで仕掛けるかが勝負のポイントだ |
女性キャラクターとのロマンスは,本シリーズにおいて欠かせない要素といえるだろう。設定上,ウィッチャーは子供が作れないため,それを逆手にやりたい放題だ |
ゲラルトは,時間の経過と共にヒゲが伸びてくる。そのまま放置しても似合うので問題ないのだが,気になる場合は床屋で剃ることも可能だ。また,床屋では髪を切ることもできる |
1作めの「The Witcher」が発売されてから約7年。シリーズ3作めにしてゲラルトサーガの最終章を飾るウィッチャー3は,美しくも残酷な世界で繰り広げられるダークでシリアスな物語が魅力の“大人のRPG”だ。 とくに寄り道への誘導がうまく,筆者も矢継ぎ早に発生するサイドクエストや,グウェントについつい浮気してしまった。すでに50時間ほどプレイしたのだが,クリアまでにどれほどの時間を費やすことになるのか分からない。 ローカライズのクオリティも高く,シリーズに触れたことのない人でも,すんなりとウィッチャーの世界に入り込めるので,興味のある人はぜひ本作を手に取ってもらいたい。ちなみに,本作は18歳以上のみがプレイできるCERO Z指定の作品なので,この点はご注意を。